梅雨のころのしっとりとした緑に、黄色い花がひときわ映えます。ぼわぼわっとした雄しべも印象的な、美しい花です。
　８～９世紀の中国の詩人、白楽天の『長恨歌』は、玄宗げんそう皇帝と絶世の美女、楊貴妃の悲恋を歌った名作。その中で、玄宗皇帝は今は亡き楊貴妃の面影を求めて、「大液池たいえきち」という池や「未央宮びおうきゅう」という宮殿をさまよいます。
　　太液の芙蓉、未央の柳
　　芙蓉は面かおの如く、柳は眉の如し
　「未央柳」という名前は、この一節を下敷きにしたものでしょう。そう思うと、黄金色の華やかな美しさの中に、どこか悲しみが感じられるように思います。
　なお、ビオウヤナギがビヨウヤナギに変化して、最近では「美容柳」とも書くようです。この書き方に今ひとつ深みが感じられないのは、ぼくだけでしょうか？